金色への道

湘南のロード乗りの徒然

サドルが滑るとパワーダウンする?対処法は?

合うか合わないか。

落ち着く否か。

サイクリストの永遠のテーマになりうる問題。

 

そう、サドル。

 

そしてサドル沼。

 

ハマった事のない方は幸運でしょう。

 

たまに「サドルなんて何でもいい!」という強者もおりますが、多くのサイクリストにとって、車体において1番面積の広い接触点であるサドルは、悩みの種でもあるはずです。

 

困る事に合っていると思っていたサドルが突如、違和感を覚え何となく合わなくなるなんて事もあります。


また、私のようにブログを書くような人間は、色々な物を試すのが好きなタイプ。

サドルも良さそうな物があれば、試してみたいという衝動に駆られます笑


そう、今回はサドルについての記事です。

 

先日、とあるフィッター様のフィッティングを見学させてもらうという貴重な機会をいただきました。

 

その時の会話の中で、
サドルが滑るとパワーが落ちる
という話がありました。

 

表面がツルツルなサドルを使うとそれだけで、損をしているという事です。

お尻がサドル上で滑ってしまうと、ポジションをキープするためペダリングと逆方向の力を発生させてしまい、自らペダルに加わるパワーを制限するのでパワーが落ちる原因となりうる。

と言った内容だったかと思います。

 

私の中でこの話は合点がいきました。

というのもここ2年ほど、お尻がサドルの上で滑るのが気になり、表面が滑り気味のサドルを止め、比較的滑らないサドルを好んで使用していたからです。


私のこれまでの経験としては、サドル高が高めの場合は表面のツルツルしたサドルの方が身体の動きを阻害しないためペダリングし易く、パワーが出るような印象がありました。

 

おそらくサドルが高いと股関節だけでなく、腰回りなどの下半身全体を使ってペダルを漕ぐため、サドルが滑る方が身体を動かしやすかったのかもしれません。

 

ただしその分、体力の消耗が早く、ロングライドで150km近くなったり、富士ヒルのような1時間を超えるヒルクライムでの終盤など、長丁場になると疲労のためお尻の位置がキープできなくなりポジションが崩れてしまう事がありました。

 

そうなるともうパワーは出ない。

また、ペダリングの際に腰が動くため腰痛も出やすい。


というような経験があり、ここ2年くらいはサドル高は低めで、比較的滑りにくいサドルを好んで使用していました。

そのため、このフィッター様の話は合点がいきました。


サドル高が低めかつ表面がそれほど滑らないサドルだと、お尻の位置が安定し多少の長丁場になってもポジションが崩れにくい印象はあります。

そして腰痛は出にくい。

 

ただし、自分の場合サドル高が低すぎても腰痛が出るので、サドル高には常に注意をしている感があります。


滑りにくいサドルに交換すると言っても、サドルってそれなりに高価である事や形状の合う合わないがあるのでなかなか困りますよね。

そんな時は、とりあえずこんなのを試してみるのがお勧め。

 

 


3Mの落下防止テープ。

サドルに貼ってみるとこんな感じになります。

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ちょっと見てくれが気になりますが、これでもなかなか効果ありです。

 


サドル自体は以前このブログでも紹介した、プロロゴのショートノーズサドル ディメンション。

これは表面が割と滑ります。

写真のサドルは通勤用自転車の物で、クロモリレールか何かのグレードの低いやつで、座面の形状は自分に合うのですが、表面の滑りが気になっていました。

とりあえず滑り止めテープを貼って、通勤で1ヶ月ほど使用していますが、今のところ剥がれる事もなく、お尻のグリップも効いています。

ディメンションにはCPCという滑り止め付きのモデルもあり、これはこれで良いのですが試しで買うにはちょっと高価ですので。

サドル表面の滑りが気になっている人は、とりあえず、滑り止めテープを試すのも良いかと思います。


ちなみに、今回お話しを聞かせてもらったフィッターさんによると、養生テープを貼るのとグリップ感が丁度良いらしいですw

養生テープの色は緑が基本ですが、探せばカラーも色々あるので、これも試してみるのがいいかもしれませんね〜

 

 

 
 
 

スポークテンションは落ちて当たり前!?スポークテンションドロップについて

ホイール組みをしていると、今まで自転車に乗っていだけでは、気にしていなかった事に気付かされます。

その一つがタイヤ装着時のスポークテンションの変化。

結論から書きますが、ホイールにタイヤとチューブを装置し、空気を充填すると

スポークテンションが下がります。

長年自転車に乗っている人でも知らない人、という気にしていない人が多いのではないでしょうか。

私もホイールを組むまで、気にしていませんでした。

 

スポークというのは、ハブとリムを引っ張る役目をしており、それによりホイールが構成されています。

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そして、その引っ張る強さが俗にスポークテンションと言い、主にKgf(キログラムフォース)という単位でその強さを表します。

これは、何Kgの力が加わっているか という事を表しているので、馴染みのある単位ですね。

kgとkgfは何が違うとかと言うと、kgは質量の事を言い、kgfは力の強さを表しています。
例えば体重60kgの人が地面に立っている場合、その人の持っている質量が60kgという事になり、地面には60kgfの力が加わっていると考えられます。


N(ニュートン)という単位でも表さられる事もありますが、kgfを使う事の方が多いかと思います。

但し、DTのリムにはこんな表記がありました。

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これは、最大で1200Nのスポークテンションまでかけられますよ と言う事になります。

ちなみに
1N = 約0.102Kgf

なので、Nを10で割った値がだいたいのkgfの値となるので、このDTのリムには最大でも120Kgf程度までのスポークテンションにしなければならないとなります。


スポークテンションが強ければそれだけ撓みが少ないので、剛性が高くて反応の良いホイールになると一般的には考えられます。

そしてホイールのスポークのうち、後輪のフリーボディが付いているドライブサイドが最もスポークテンションが高くなり、そこのスポークテンションを上限ほどの120kgfや130kgfに合わせて組む事が多いです。


さて冒頭に書いた、ホイールにタイヤとチューブを装着し空気を入れるとスポークテンションが落ちるというのはどういう事か。


考えて見れば難しい事ではありません。

空気を充填すると、チューブが膨らみますね。

当たり前ですが、チューブは円形になっており、チューブが膨らむ事によりホイールのリムの全周が内側に向けチューブに押される形になります。

そうなるとリム自体が若干ですが縮みます。

そのため、張ってあるスポークが緩む形となるため、スポークテンションが下がってしまうのです。


頑張ってホイールを組んで、自転車にセットアップして走った後、スポークに緩みがないからチェックしてみると、しっかり張ったはずのスポークが緩くなってる!しかも全部のスポークが!

って事になりびっくりしましたが、よくよく調べてみると、当然の事でした。

 

で、どのくらいのタイヤとチューブを装着しエアーを充填すると、どのくらいスポークテンションが落ちるか。

先日組んでみたリアホイールにクリンチャータイヤとチューブを装着し5barまで入れたときのスポークテンションを計測したところ


フリーハブ側
130kgf → 105kgf

ブレーキローター側
105kgf → 80kgf

おおよその値ですが、やはりスポークテンションが落ちました。
割合にして20%ほどのドロップとなります。

 

落ちる割合はリムの剛性によって変わると考えられますが、こうしてみるとなかなか大きい数値です。

ちなみに空気を抜くと
フリーハブ側 : 120kgf
ブレーキローター側 : 95kgf


ほどまでスポークテンションは戻りましたが、タイヤを嵌めるだけの状態でも10%ほどスポークテンションが落ちている事が分かります。


さて、タイヤとチューブと空気をセットし、スポークテンションが下がる事で、もう一つ問題が起こる事がありました。

 

それはセンターがズレる恐れがある事。


ホイールのスポークテンションが全体的に落ちた結果として、合わせたはずのセンターが若干ズレてしまう事がありました。

これはスポークテンションが左右で差が出てしまう事の多いリアホイールの方で見られるようで、フリーハブ側に0.5mm弱ズレてしまう事がありました。


フリーハブのあるリアホイールは形状がいわゆる「おちょこ」となり、組み方にもよりますがフリーハブ側は、反フリー側となるブレーキローター側に比べスポークテンションが高くなります。

そのため、タイヤとチューブをセットし全体のスポークテンションが落ちた時に、元々のスポークテンションが高いフリーハブ側に僅かに引っ張られてしまうのかもしれません。

そのため、リアホイールを組む場合、左右のスポークテンションが大きく異なる場合は、そのセンターズレを考慮してホイールを組む必要もあるでしょう。

 

そしてスポークテンションドロップはチューブレスだとさらに顕著に現れます。


先ほどとは別のホイールになりますが、フロントホイールとして組んだホイールに、30mmのシュワルベプロワンをチューブレスでセットした時のスポークテンションの変化を見てみました。


タイヤと空気を入れていない状態

左側(ブレーキローター側) : 110kgf
右側 : 100kgf


タイヤを嵌めた状態
左側 : 90kgf
右側 : 80kgf

4barまで空気を充填
左側 : 80kgf
右側 : 70kgf


スポークテンションの降下率は約30%。

20%ほどの降下率であったクリンチャータイヤに比べ大きい値となりました。

チューブレスタイヤを使った事がある人は経験があると思いますが、タイヤが固くホイールにタイヤを嵌めるのに苦労した事があると思います。

タイヤ自体がタイトな造りであるため、ホイールに嵌めるだけでもその全周に強い圧力が掛かり20%ほどのスポークテンションが落ちています。

そして、エアーを入れると更に10%ほどスポークテンションが落ちました。


ロードバイクでは、一般的にチューブレスタイヤ(チューブレスレディ含め)は乗り心地が良いとい印象があります。


チューブレスタイヤが快適な理由としては、チューブが無く空気圧を低くできるためと言われていますが、スポークテンションが落ちている事も要因の一つと言えるでしょう。

一方、チューブを入れたクリンチャータイヤの反応の良いキビキビした走りは、相対的に考えればスポークテンションがそれほど落ちていない事ご要因の一つとも言えるでしょう。

 

優しい乗り心地でないかもしれませんが、それはそれで魅力はあります。

 

チューブレスタイヤを履いて、反応の良さを求めるのであれば、タイヤをセットした状態を想定したホイール組みが出来れば理想的なのかもしれませんね。

もしくはタイヤを履いた状態で微調整するのも場合によってはアリかもしれません。

ただしその場合、エアーを抜いた際のスポークテンションがハブやリムの最大スポークテンションを超えないようにしないと、部品が破損する恐れがあるので注意が必要ですが。

 

今回はスポークテンションドロップについて書いてみました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

スポークテンションメーター校正器を作ってみた。

家の事情があり、外に乗りに行けない日々が続いております。

ただ、休日は家には居て細切れに時間はあるので、ホイールを組んだりしています。


ホイール組みに必要な工具の1つにスポークテンションメーターがあり、廉価な物を以前より使っていましたが、思うところがありパークツールのスポークテンションメーターTM-1を購入しました。

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やはり、パークツールは良いです。
値段は張りますが、安い物とは使い心地が全く違います。
手にした感触から違うのでびっくりしました。


ただこのTM-1もスポークテンションの値は、換算表を元にした参考値でしかありません。

また、稼働部のバネがギシギシしていたので、潤滑剤を塗布したら、スムーズに動くようになったけど、表示値が多少変わってしまいました。

そもそも換算表にある表示値は個々の銘柄のスポークに対応したものではないため、このスポークは換算表のどれに当たるのだろう?
と迷う事も多々ありました。

例えば、0.9mmの厚さのエアロスポークがノギスで測ると0.95mmあったり、1.5mmのラウンドスポークの太さがやはりノギスで測ると1.55mmほどあるなど、換算表だけでは確信を得る事ができなかったのです。

 

そこで必要となるのが、スポークテンションメーターの校正器。

探してみると、とあるショップが作っている校正器がありました。

 

 

 

23,300円といい値段しますね。


構造的には非常にシンプルで、吊り秤をスポークで引っ張っているだけ。

そして使い方は、その秤の表示値をスポークテンションをTM-1の値で見てゆくという物です。


構造がシンプルなだけに、他のホイール組をしている方のホームページを見ると、自分で作っている人も多いです。


これなら作れそうとの目論みから自分も作製して見る事にしました。

 

必要な物は

フレーム
吊し秤
金具類

です。


考えなければならないのは、
スポークを引っ掛ける構造
スポークを引っ張る機構
です。


材料を探しに、家から2kmほどの所にあるホームセンターに行ったのですが、適しそうな物があまりなく、結局ほぼAmazonで注文しました。


完成品がこちらです。

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スポークテンションは130kgfほどまでは張るので、使用する材料もそれに耐えられる物でなければなりませんが、常に130kgの負荷を与え続ける訳でなく、使わないときは無負荷なので材料の耐荷重にはそこまでこだわらず、ある程度頑丈そうな物を選びました。

 

材料のフレームはコレ。

 


TRUSCO(トラスコ) TSF40フレーム40X40-900 TSF4040-900

 


金具類はこのセット。

 


2028シリーズ アルミプロファイルコネクターセット20個 コーナーブラケット40個 M8x20mm Tスロットナット 40個 M8フラットワッシャ 40個 M8x16mm 六角ソケットキャップスクリューボルト 8mmスロットアルミプロファイルアクセサリー(黒)

 


ターンバックルを使ってスポークを張るので、コレも。

 


simPLEISURE ターンバックル M6 1個 qb500165c01n0

 


吊し秤はコレですが、私はAmazon以外の所から入手。

 


吊りはかり デジタルスケールクレーン 200kg 高精度0.05kg 計測ツール 吊り下げ秤 携帯式 吊秤 釣り用 自家用 旅行用 商売用 産業用 乾電池式 ブラック

 

 

200kgまで計測できる吊し秤です。


材料は以上ですが、多少金具を加工してあります。

L字ブラケットを背中合わせにして強度を稼いでいますが、元々は突起があったので、その突起を削り背中合わせにできるようにしています。

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またボルトにボール盤を使い方穴を明け、スポークを通し引っ掛けるられるようにしています。

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テンションの調整は、ターンバックルを回すことで80kgまでは上げられますがそれ以上は力がいるので、ニップルを回しスポーク張る事で張力を上げられます。

 

130kgも余裕で張ることできました。

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スポークテンションメーター校正器を使い、実際に使うスポークを張ってTM-1の値を記録しておけば、ホイールを組む際、スポークテンションを、自信を持って張る事ができるので、これは作ってみて正解でした。

 

作成に使った金額も8000円ほどとメカニコさんの物を買うよりだいぶ安く済みました。

 

 

今回このスポークテンション校正器を造るのに参考にさせて頂いたHPです。

テンションメーター – 手組ホイールファン

非常に勉強になるサイトですので、ホイールについて興味がある方は読んでみてください。